新電力が格安になる理由
どうして新電力にすると電気代が格安になるのでしょうか。
格安と聞くとどうしても不安定とか、最悪の場合電気が供給されずに停電になってしまうのではないかなどサービスの質の低下を心配してしまいます。
しかし、新電力の場合は料金制度などが大きく違うので格安料金を実現することが出来るのです。
他にも様々な要素が関係していますので、一つ一つ格安の理由を考えてみましょう。
料金制度の違い
今までの地域電力会社は、契約者の家庭が一番多く電気を支払った時を基準にして基本料金を決めてきました。
しかし、新電力は、使った分だけ電気料金を支払うような制度になっています。
いわゆる従量制です。
もう少し詳しく考えましょう。
具体的なケース
今までの、基本的な電気料金の仕組みは、基本料金と使った電気の料金が合わさったものです。
この基本料金はどのようにして決められるのでしょうか。
それは、契約している電力に基本料金の単価をかけて計算します。
この契約している電力というのは自動的に決められてしまいます。
というのは、30分毎に使った電力の中で一番多く使った30分がピックアップされ、その電力が基本となり次の月から、その電力にもとづいて計算された基本料金が請求されるのです。
しかも、そのようにして決められた基本料金は上がることはありますが、下がることは1年間ありません。
このシステムだと、たまたま夏のある日、一番熱い時にエアコンをかなり低い設定温度で使ったとします。
家から帰ってきて家の中を一気に涼しくしようとして、そのようにしたのです。
そうすると、その30分間が一年で一番電力を消費した瞬間となります。
その電力をもとに次の月に基本料金が決まってしまうのです。
しかもその上がった料金は一年間変わりません。
つまり、今までの料金システムは、電気をあまり使わない月も無駄に沢山のお金を払わなければいけなかったのです。
しかし、新しいシステムでは、この割高感が無くなります。
電力を一番使った月の基本料金とそんなに使わなかった月の基本料金があまり変動しないようになり、使った分だけを払う従量制の部分の割合が増えるのです。
結果として、あまり電気を使っていないのに基本料金が高いという現象が無くなります。
販売方法の変化
さらに新電力によって料金が格安になるのは電気の売り方が変わってくるからです。
例えば、地域の電力会社が工場やデパートなど大口顧客に販売する高圧電力の値段というのは、家庭用の低圧電力に比べて割安です。
新電力会社は、この割安な高圧電力を一括で安く購入し、マンションの居住者などに切り売りすることによって格安料金を実現します。
今までは、マンションのそれぞれの世帯が個別に電気会社と契約していましたが、新電力では、そのマンション自体を一人の契約者として考え、それぞれの世帯に必要な分だけの電力を販売していくのです。
そのマンションに、高圧電力から低圧電力へ変換する変電設備を作って、格安の高圧電力をそれぞれの世帯に販売していきます。
変電設備を作るコストを差し引いても電気料金が安くなるほど安いのが高圧電力なのです。
仕入れ方法
別の新電力が格安になる理由は電力の仕入れ方法の変化です。
多くの新電力は再生可能エネルギーによって発電された電力を仕入れます。
つまり、太陽光発電や風力、水力発電などです。
最近では地熱を利用したり大気の熱を利用したりした再生可能エネルギーも出てきました。
これらのエネルギーは非常にエコであり環境にやさしいものです。
ですから、仕入れの際に政府からの交付金が出されます。
この交付金のサポートがあるので、通常の発電所から電気を買うよりも安く電力を仕入れることが出来るのです。
それぞれの新電力は今までよりも格安な料金を実現できるように様々な努力や工夫をしています。
電気を供給する送電線などは今までと変わらないものを使いますので、新電力に切り替えたとしても安心して利用していくことが出来るでしょう。