特定電気事業者
特定電気事業者とは、既存の電力会社を利用するのではなく、特定の区域に限って自前で発電や送配電の設備などを使い電力供給を行う事業者の事を指しています。
- 特定電気事業者とは
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一般的に電気の供給を受ける際には、東京電力などを始めとする電力10社と契約を行なう電力供給を受けています。
その一方で特定電気事業者の場合は、自社の関係する特定の地域に限って自前で電気を発電して供給する事業者になりますので、電力需要が大きいビルなどの施設や再開発地区への供給を行なう事業者のみ認可を受けています。
従来は事業者として認可される上では、その特定地域内で必要な電気100%全てを発電しなければならなかったのですが、大震災を契機に50%以上と緩和されたため、事業への参入が容易になりました。
- 事業者の種類
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現在の所この事業者として認可を受けているのは5社だけに限り、数は小さく限定されています。
まず事業者として挙げられるのは六本木エネルギーサービス(森ビルグループ)で、六本木ヒルズ内部に発電設備があります。
続いてJR東日本は首都圏のJR線への供給と共に東海道新幹線にも供給しており、また大阪ガス傘下のOGCTSは京セラドームや近隣にある再開発地区を含む5施設で供給しています。
またJFEスチールは千葉市の蘇我にある製鉄所工場跡地の特定地区に供給しており、さらに住友共同電力では愛媛県の別子山地区において供給しています。
いずれも限られた狭い範囲内のみの供給ですので発電施設もまた小さい規模です。
- 特定電気事業者と電力自由化について
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電力自由化では、既存の電力会社だけでなく新電力業者を選べるようになりましたが、一定地域のみ電力を供給する事業者の場合は一般の需要からは区分されていましたので、自由化によりどのように変化するかは分かりにくい部分があります。
例えば六本木エネルギーサービスでは、六本木ヒルズのビル設備だけでなく住居部分にも電力を供給しているのですが、ビル内の限られたスペースに発電機を設置していますので、これ以上は拡張できません。
限定的な発電をしていた経緯があるため、他の事業者でも同様の事情があります。
新たに発電施設を建設するためには用地を確保する必要がありますし、大規模な施設を建造するにも大きな費用が掛かりますので、これまでの事業を拡大させて発電能力を増加し、一般向けに小売するかについてはいずれの業者も不透明な部分があります。